machine that sleeps彼は眠るために作られた。頭部はテレビでできていた。何故そうなのかはわからない。自分の中身がどうなっているのかなど知らない。もしかするとただの空洞ということだって十分ありえる。眠るためにに作られたくせにちっとも眠れない。彼は不眠症の機械だった。眠れないなら仕方ない。夜の電波を...
革命と円周率の確率革命は起こらない。そう言って彼女は部屋を出て行った。赤い部屋の中で雪が降っている。ストロベリーソースをかけて食べてみたい。 円周率と同じ量のイチゴでソースを作る。ソースを煮込んでいるうちに雪が溶けてしまう。 ゴルフカートに乗ったシロクマが集金に来る。着色税を払えと言う。つい...
dispersionわたしは文字だ。 文字は線だ。 線は点だ。 点は円だ。 円は球だ。 球は宇宙だ。 宇宙は文字だ。 文字はわたしだ。 惑星を回り続ける文字は右から左へ突き抜けていく。わたしという全データがどのくらいの容量なのか知らない。何ギガでも何テラでもそれはあまり気にならないというのは嘘...
Conjunctionあらゆるものは遠ざかっていく。あらゆるものから見ればこちらが遠ざかっていくように見えている。宇宙なんて主語の座標でいくらでも変わる。述語も独立語も修飾語も離れていくのに接続語は時間も空間も捻じ曲げている。 #都升品調 #グラフィックノベル #ポストサイエンスフィクション #...
sneezeくしゃみをした。大きいくしゃみだ。彼女がいつも嫌がっていた。くしゃみが出そうになると彼女はすぐに鼻を摘んで堰き止める。くしゃみは未遂で終わるがこのくしゃみはどこに行ったのだろう?というと「そういうこと言うのが嫌なのよ」と言われていた。たぶん。...
Space, drifting and meそれは純粋な一つの目だった。 目は宇宙空間を進んでいた。 目は思考することはなかった。 思考するための器官がないからだ。 目は見るだけだった。 何億年も目は何もない空間を漂い続けていた。 その間何も見ることはなかった。 目は何かに引き寄せられていた。...