くしゃみをした。大きいくしゃみだ。彼女がいつも嫌がっていた。くしゃみが出そうになると彼女はすぐに鼻を摘んで堰き止める。くしゃみは未遂で終わるがこのくしゃみはどこに行ったのだろう?というと「そういうこと言うのが嫌なのよ」と言われていた。たぶん。
くしゃみが出てからしばらくすると家のチャイムが鳴った。出ると僕のドッペルゲンガーだった。僕はもうドッペルゲンガーを見る年齢になっていた。「ドッペルゲンガー代を払ってもらうよ」と言いながら部屋の中へ入ってきた。「今は手持ちが1025円しかないんだよ」と言うと「とりあえずそれでいいよ」「領収書とかもらえるかな?」「自分に払うようなものなんだからそんなものは出せないよ」そうドッペルゲンガーは言いながら部屋の中を見回した。冷蔵庫を開けてビールを出して勝手に飲み出した。「ところで君は俺の妻と寝ただろう?」そうドッペルゲンガーに言われたが身に覚えはない。「まぁそれを責めるつもりはないよゴップ」と言ってドッペルゲンガーは語尾にゲップをした。と同時にチャイムが鳴りドアを開けるとまたドッペルゲンガーがいた。
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